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2006年9月 7日 (木)

書評『ミッチー・ブーム』

文藝春秋新書、石田あゆう著『ミッチー・ブーム』を読んだ。これは、単なる皇后美智子様の物語ではない。2003年柏書房から出版された『戦後世論のメディア社会学』に収録された「女性週刊誌が支える天皇制ー代表具現のロイヤル・ファッション」を元に加筆されたものだ。

皇太子妃が決まったという第一報を流したのは宮内庁記者クラブに加盟していない女性週刊誌だった。それ以降、美智子様は、夢のシンデレラとしてそのファッションからライフスタイルにいたる全てが女性週刊誌に掲載され、若い女性の関心と人気を獲得すると同時に、女性週刊誌もその発行部数を伸ばしていった。

ご成婚は、「テレビという編集されたスペクタクル」メディアを各家庭が体感する契機となった。

ちょうど、戦後日本の自由・民主主義と新しい「ホーム」、これまでの家父長制の「イエ」とは違う家庭像を日本全体に夢のように演出した皇太子のご成婚とその後の新しい皇室の日常生活。これらを積極的に女性週刊誌がスタイリッシュに紹介した。皇太子妃は、新しい時代の先端のファッションと生き方を具現し、時に、女性たちの夢のシンデレラとして、、またはモデルとして、または、オピニオン リーダーとして紹介され、新時代を牽引する女性像としてビジュアルグラビアで毎週毎週伝えられた。そうして、今日までの皇室への親しみを育んだいったことに女性週刊誌の果たした影響は大きいと作者は分析する。

これまで宮中にいて姿をみせなかった天皇が、明治以降「自らの姿を日本国民の前にさらすことによって、国民と一体化した空間としての国家を出現させ、主君としての正統性を確立していった」その過程のなかで、和装から洋装(軍服)へ、つまり、日本の近代化が富国強兵であったことなどをファッション、服装、メディア(御真影を含む)との関連のなかで、分析している。文化消費論、メディア社会学、比較文明学的な視点がなかなか面白かった。

その流れは現在も雅子様、紀子様に引き継がれ、ファッションや生活を女性週刊誌が毎回取り上げることで、若い女性を中心に、皇室は国民に親しみを持って浸透しているという。

皇室の慶事のなか、皇室典範改正問題や天皇制に関する関心が高まっている。比較的手軽に読める新書でありながら、多くの視点を提供しているので、一読されることをお勧めする。

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