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2006年7月30日 (日)

「サウジアラビアと日本ー新時代の戦略的パートナーシップ」

昨日、午後は、広尾にあるアラブ・イスラム学院で「サウジアラビアと日本ー新時代の戦略的パートナーシップ」のシンポジウムに参加した。

愛知万博の「サウジアラビア館」の企画運営の仕事で2003年の冬以来、ここの存在を知り、いろいろとお世話になっている。おそらく、広尾の中国大使館の裏に、このように素晴らしいモスク兼教育機関があるのを知っている人は少ないだろう。ここは、サウジアラビアのイマーム大学日本校という位置づけになっており、多くの日本人がアラビア語を勉強しており、時々、様々なシンポジウムを企画している。

これまでも仏教・神道・イスラム教の宗教者会議や、アラビア語学習に関するものなどその世界での第一人者による興味深い内容のシンポジウムを行っている。

この日の第一セッションでは、東京国際大学教授の渥美堅持先生とアラブイスラム学院長アルジール教授のお話があり、拓殖大学森 伸生教授が議長を務めた。

遅れて行ってしまったので、それぞれの先生の発表が終わったところで、質疑応答になっていた。

渥美先生の興味深い発言は、「世界の安定のために、国家のビジョンとして日本はサウジの現サウード政権を守ることが重要」とおっしゃった。「中東のなかには、ペルシャ、トルコ、ユダヤ、アラブの世界があり、それぞれが違う。」「現在は、宗教が国家アイデンティティーになっているが、これをおのおのの国家アイデンティティーをもった国へと軟着陸で移行させることが大事」で、「イスラム概念をはずさずに、スムーズに」「日本も100年かかっているので、サウジも何年かかるかわからないが」「そのためには、若者の育成・吸収が大事であり、留学生の受け入れ、相互の教育機関での交流が重要だ」と。

4月にサウジの皇太子殿下がお見えになって、サウジ私費留学生に対し国費留学生にすることが決まったり、大学に研究機関・研究所の設置などもきまったようだ。早稲田大学では殿下に名誉博士号が授与されたらしい。

これまで、この学院では、どちらかと言えば、サウジ側に気をつかった内容が多かったように感じていた。たまに鋭い質問(イスラム教の教えとサウジのギャップに関する微妙な質問など)をする人は、ほとんどなく、たまにそういう質問をすると、終わってから「あまり、厳しいこと言わないでよ~」と関係者に言われたりする。でもだからと言って、言ってはいけないというような雰囲気はなく、アットホームな感じだ。それは、ここに来ている人は、ほとんどが何らかのかたちで、サウジと関係があったり、学院で学んでいる人だったりするせいもあるかもしれない。私も行くと必ず、4,5人は知った人に出くわすし、もちろんスタッフとも顔見知りだ。

そういう意味で、渥美先生の発言は、ここでは、結構珍しい部類に入る。政治的な発言をここで聞くことはほとんどない。サウジからの留学生にサウジの体制など政治的な質問をすると困るようで「あまり、政治のことは、分かりません。」という答えが返ってくる。

以前、地球物理の国際学会の仕事をした時、天安門事件(第二次)の後だったので、会議終了後の関係者の会食の際、中国から参加していた先生に、こそっと、そのことについて意見を求めてみたが、彼はニコニコして、同じようなことを言った。フランスの先生や日本の先生に「そんな質問しても彼は答えられないよー」とたしなめられた。分かっていても、どう反応するか聞いてみたかった。知識人は海外で、他の関係者がいないときには、発言できるのかと思ったりもしたので。

話がそれたが、第二セッションは、サウジと日本の技術協力にかんするもので、住友化学の常務廣瀬博氏によるサウジでのラービグ計画に関する発表と早稲田大学博士課程の留学生でイスラム学院の文化・広報部長でもあるイサム・ブカーリさんの「サウジ・日本の今後の技術協力推進のロード・マップ」という理想的なプロジェクト構想の発表だった。

イサムさんには、万博の時にはじめから最後まで、あらゆる局面で協力していただいた。日本語も大変流暢で多方面の知識も豊富で優秀な留学生だ。4月のスルターン皇太子殿下の来日の際には、彼が通訳を務めた。「ちきゅう市民クラブ」の活動にも協力していただいている。

彼の発表は大変希望にあふれる企画であったが、万博の仕事でサウジからの衣装その他の調達に苦労した身の私としては、「いい組織をつくってもサウジとの仕事では、スケジュールを守らなかったり、約束を守らなかったり、実際のオペレーションに問題があるので、そこはどうするのか。」というような質問をちょっとやわらかく、してみた。

こういう場で質問をしても、大概は、うまくかわされてしまう。私の隣に座っていた女性は、学院長に女性としてどういう貢献ができるかというような質問をしたが、これもかわされていた。

でも、ここでのシンポジウムでは、比較的たくさん質問する人がいて、なかなか面白かった。年々感じるのは、日本でのイスラム文化への関心の高まりだ。9.11以降、NHKでも盛んにアラビア語講座やイスラムの潮流などの番組を作っている。

自分から、イスラムについて知ろうとしない人には、「イスラム=過激派、テロ」と思っている人も少なくない。本来「イスラム」の意味は平和の意味であり、イスラム諸国で女性の大臣や大使、首相などが多くでていることからも、我々のイメージと実際のギャップがある。

私も、そのために、このような機会があれば、なるべく多く参加して、貪欲に学びたいと思うし、やはり、その国の人と知り合うことが近道だと思う。イサムさんにしても学院にいるサウジ他アラブ諸国からの留学生は、皆まじめで親切で約束をしっかり守る非常に優秀な人たちが多いことを誤解のないように記しておこう。お互いに両方の文化を学ぶものが増え、地道な交流が続けば、きっと、イサムさんが提案するプロジェクトもうまく稼動して、互いの発展に寄与できることだろう。

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