ちょうど去年の今頃、初めて甥のけんちゃんがわたしのところへ一人で泊まった。
浅草で待ち合わせて、一日めは、一緒に上野の博物館へ行った。恐竜展をやっていたために入館までに小一時間長い行列に並ばなければならなかった。
若干4歳で、この行列に静かに並んでいられるか心配だったが、お話をしたり、しりとりをしながら何とかこの時間を凌ぐことができた。さてさて、いよいよ館内に入るや否や、けんちゃんは売店を見つけると本売り場に一直線。「これとこれとこれ、、、」という具合に昆虫や恐竜の図鑑などを取り出して買うという。重いから、先に恐竜みてから帰りに買おうと言っても、「売り切れちゃうから、先に買わないと駄目だ」と聞き分けがない。「けんちゃんは、昆虫博士になるんだから、こういうのを買わないと駄目なんだよ。」仕方がない。ハードカバーのこども本も結構高い。結局4冊も買うことになった。カードを使えるか聞いてみたが、駄目だった。(フランスの美術館などは、数百円の入場料でさえ、カードが使えるようになっている。)本を確保して、やっと館内の見学だ。最初は、面白みがわからないようだったが、だんだん博物館の楽しみ方も要領がわかってきたようだった。
1日のほとんどをここで過ごした。疲れたので外へ出て、文化会館横のカフェへ。中が込んでいたので外のテーブルを確保した。「アイス買ってくるから、ここで待っててね。どこへも行っちゃ駄目だよ。本みて待っててね。」「はーい」カフェの中に買いに行ったがここでも行列。なかなか順番が回ってこない。心配なので、けんちゃんが待っている外のテーブルを確認しながら、かれこれ15分くらいかかってしまっただろうか。やっと、アイスを買ってテーブルに戻ると、けんちゃんは、「あんまり遅いから、けんちゃん、泣いちゃったんだよ。」
さあ、アイスも食べて休んだのでおうちへ。疲れたのか山手線のなかで眠ってしまった。降りる駅に来ても声をかけても起きないので、乗り越した。やっと起きたので、2駅戻って、恵比寿に着いた。まず、家に帰り、荷物を置いてから、また、ガーデンプレイスに遊びに行った。最上階まで上がるエレベーターの中では、高い高いと喜んだ。三越の本屋に行ってしまって失敗した。けんちゃんは本が好きだ。百科事典を見ると「けんちゃん、こういうのが欲しいんだよ。」と駆け寄る。「あれ、なんだこれ。」良かった。発砲スチロールの見本だったので、買わずに済んだ。次に小学5年生の表紙をみて買いたがった。聞き分けがない。私もどうしたらいいのかわからず、「けんちゃんはまだ、4歳なんだから、5年生は無理。」思わず回りの同意を得たく、大きな声になる。けんちゃんは仁王立ちになり、動こうともしない。いつもいい子なのに、時々、聞き分けが無くなると手に負えない。「せっかく楽しもうと泊まりにきたのに、台無しじゃん。」となだめ、渋谷区を巡回しているミニバスに乗せた。かわいい絵の付いたコミュニティーバスだ。また、駅に戻ると今度は歩く歩道、スカイウォークが気に入ったようで、何度も何度も行ったり来たり。「もう1かい」。「もう1かい」。。。私も結構疲れてしまった。
食事をして、家に帰り、お風呂に入って、寝ようとしたら、急に「ママに電話してみようか」という。携帯に電話したが、繋がらなかった。それで、急に心配になったのか、「ママに会いたい。」と泣き出してしまった。さてさて、困った。何度電話をしても電話に出ない。泣き声はだんだん激しくなる。やっと電話が繋がった。「ママ、迎えに来てよ。」と言っていたが、話をして安心したのか、迎えにこれないことも納得したようだった。「ロイヤルミルクティー」を作ってあげようか。というと「うん」というので、PCで録画した昆虫の番組を見て待ってるように言い、キッチンへ。紅茶ができて、運んできたときには、PCの机の上に顔を伏せて眠ってしまっていた。疲れたのと、緊張と不安で一杯だったようだ。でもやれやれの1日だった。
翌朝、けんちゃんは、元気に目覚めると、開口一番、「もう寂しくないよ。」「今日は東京タワーへ行こう。」ご飯を食べてしたくをし、東京タワーへ向かった。エレベーターとエスカレーターを乗り継いで最上階へ行ったが、けんちゃんは「早く東京タワーに登ろうよ。」けんちゃん、もう東京タワーの中にいるんだよというとびっくりしていたようだった。タワーの外側を登ると思っていたようだった。こっちがビックリだ!
中に水族館があるというので、入ってみたが、普通の家庭にもあるような小さな水槽がたくさんあるだけの水族館で私はガッカリしてしまった。ちゃんとした水族館を見せたかったのに。でもけんちゃんは、「たくさんお魚がいるね。」「これおもしろいよ。」と喜んでくれた。良い子だ!以前、お正月に実家に帰るときに、時間がなくてなにもお土産を用意できなかった時、たまたまどこかでもらったおはじきや紙風船のセットを持っていってけんちゃんにあげた。「こんなもの」と興味を引かないかなとおもっていたが、紙風船に思いもよらずキャッキャ、キャッキャ、声を上げて喜んで遊んでくれた。“なんていい子なんだ!”と思ったものだ。
私の母、けんちゃんの“ばあちゃん”が迎えに来る時間に近づいた。東京タワーからは、バスで戻ることにした。これで、地下鉄、山手線、ちびバス、タクシー、バスと経験できる。
バス停になかなかバスが来ないので、ずいぶん待たされた。しばらくはしりとりをして遊んだが、私も疲れてしまった。けんちゃんは、一人で、手でカブトとクワガタを作って、戦って、遊んでいた。その世界に入ってしまうと、話しかけても返事はなくなる。やっとバスが来た。乗り込むとまた、けんちゃんは眠ってしまった。恵比寿に着くと、ちょうど、私のマンションに母が入っていくところだった。家で、昨日、今日の出来事を話し、ちょっと休んでから、地下鉄で浅草まで送っていった。
その地下鉄の中で、けんちゃんは、私の名を呼び、耳元でささやいた。「今日も楽しい一日をありがとう。」(けんちゃん4歳の春:初めての東京お泊り2005年04月)
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